進士建築・佳典の歩み

原点

茶畑が美しい曲線を描く静岡県菊川町(現菊川市)に進士佳典は生まれ育った。 何でも造ってくれる祖父と、上棟式で餅を投げる父の誇らしげな顔。 卒園文集に書かれた将来の夢は「大工さんになりたい!」
進士佳典の原点である。

中学、高校生時代は技術の成績が素晴らしく、高校三年生の夏には大学主催の設計協議会で入賞するなど、ものを作る喜びを覚えていった。

大学に進学し、大工の講義を受け、自分の進みたい道は、やはり大工であると確信し、猛反対の親を押し切り、大工の世界へ飛び込んだ。

修業時代

岡本棟梁の下、大工業を学ぶ。
「何も分からない自分に親方は本当に一から教えてくださいました。親方が兄弟で大工を営んでいた事もあり、お二人の考えを教えていただいて、いろいろな角度から仕事を学ぶ事ができました。」
誕生日には作業着を贈ってもらったりと、息子のように可愛がられて修行に励む。
「初めて、新築の一軒家に墨付けをさせてもらい、その家の棟が無事に上がった日、家に帰ってうれし泣きをしました。辛い事の方が多かった6年間ですが、本当にここまで仕事をできるようにしてくれた親方に、感謝の気持ちで一杯でした。」

独立・開業

平成13年、父が他界する。

「父が他界し、家を継ぐと決まった時、親方から『もう、一人でも大丈夫だから、やってみろ。』と、修行の終わりを告げられ、一人前の大工として歩み始めました。」

進士建築3代目として歩み始めた佳典ではあったが、当初、仕事は全く無かった。

「独立当時、正直言って仕事は全くありませんでしたがそんな時、法事でお寺に行くと、住職さんが突然言いました。
『進士くん、やっと修行の年期が明けて帰って来てくれたんだね。今度、晋参式があるから、お寺の補修や整備をお願いしたい。』と。」

「代が変って、何の実績もない自分に、『進士さんの息子さんなら大丈夫』と仕事を任せてくださったのです。この時ほど、今までの祖父、父の存在を地元で感じた事はありませんでした。」

「また、あるお施主様には『この家はお前のおじいちゃんで、この離れはお父さん、そして、その横がお前のつくった倉庫だ!これで三代並んだよ。』などと言われた事もあります。」

木を見る・木と出会う

「木にこだわる親方のもと、六年間勉強させて頂いたかいあって、木の扱いには自信があります。昔からマイペースなところがあり、周りを悩ませる事もありましたが、その分じっくり考えて答えを出してきたつもりです。」
「父とは一緒に仕事は出来ませんでしたが、亡き祖父、父の築き上げた信頼、実績のあるこの地元菊川で仕事が出来る喜びを胸に、これからも頑張っていきたいと思っています。」

進士建築プロフィール

  • 昭和初期、初代となる祖父が現在の菊川市富田で建築業を始める
  • 昭和47年 二代目父とともに、現在の菊川市吉沢へ自宅を転居
  • 昭和56年 作業場を吉沢に移転
  • 平成13年 父の死去にともない、息子の佳典が三代目となり、進士建築を継ぐ

進士 佳典(しんじよしのり)プロフィール

  • 1975年10月生まれ
  • 地元小・中学校卒業
  • 県立島田工業高校 建築科
  • 九州産業大学工学部 建築科 一年で中退
  • 現・菊川市 有限会社岡本建築にて六年間の修行を積む
  • 平成14年1月 進士建築 三代目となる
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